不動産売却における競売とは?競売までの流れやデメリットなどを解説!

不動産売買ノウハウ

不動産売却における競売とは?競売までの流れやデメリットなどを解説!

住宅ローンを滞納したまま長期間が経過すると、最終的に自宅は競売にかけられてしまいます。
競売は一般的な売却に比べてデメリットが大きく、できる限り避けたい売却方法の1つです。
この記事では、不動産売却における競売とはなにか、デメリットや競売にかけられるまでの流れを解説します。
不動産売却をご検討中の方や住宅ローンの支払いが難しいと感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

不動産売却における競売とは?任意売却との違いも解説

不動産売却における競売とは?任意売却との違いも解説

はじめに、競売の仕組みと任意売却との違いについて解説します。

競売とは

競売とは、債務者が返済できなくなった借金を回収するために、債権者が不動産を強制的に処分することです。
住宅ローンの支払いが滞った場合、金融機関は不動産を担保に完済してもらえるよう裁判所に申し立てをします。
申し立てが受理されると、裁判所の権力によって強制的に不動産売却が進められます。
金融機関が不動産を担保に取れる理由は、対象の不動産に「抵当権」を設定しているためです。
抵当権とは、債務者が返済できなくなった場合に、担保とした不動産を売却し、借金を回収することです。
抵当権は、住宅ローンを全額返済するまで解除できません。

任意売却と競売の違い

住宅ローンの支払いが困難になった場合に、ただ競売にかけられるのを待つのではなく、任意売却を選択する方法もあります。
任意売却とは、債権者である金融機関から許可を得て、住宅ローンが残ったまま不動産を売却することです。
売却や価格設定に金融機関の同意が必要ですが、全体の流れは一般的な不動産売却と変わりありません。
不動産会社の仲介によって一般市場で物件を売りに出し、無事売却できれば売却代金をローンの返済に充てます。
競売は売り出し価格が相場の6割程度となることが多いのに対し、任意売却では相場に沿った適正価格での売却が可能です。
そのため、競売にかけられるよりも任意売却をしたほうが、住宅ローンの残債を大幅に減らせる可能性があります。
また、任意売却後に残った債務に関しては、金融機関との交渉次第で分割払いにすることも可能です。
競売では売却後に残った債務を一括で返済しなければならず、結果として自己破産せざるを得ないケースがほとんどです。
このように競売と任意売却では条件が大きく異なるため、より好条件で売却したいなら任意売却をおすすめします。

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競売によって不動産を売却するデメリットとは

競売によって不動産を売却するデメリットとは

先述したように、競売は所有者にとってデメリットの大きな売却方法です。
ここからは、競売によって不動産を売却するデメリットを解説します。

売却価格が低い

競売のデメリットとしてまず挙げられるのが、売却価格の低さです。
競売では、売り出し価格が市場価格の5~7割程度になるケースが一般的です。
たとえば市場価格が4,000万円の土地の場合、競売では2,000万円から2,800万円程度になるでしょう。
売却価格が低ければ、その分住宅ローンの返済に充てられるお金も少なくなってしまいます。
大切な不動産を手放すのですから、1円でも高く売却したいと思うのは当然のことです。
より好条件で売却するためにも、競売にかけられる前に自らの意志で売却に向けて動き出しましょう。

プライバシー侵害のリスクがある

不動産が競売にかけられると、競売物件として情報誌やインターネット上に情報が掲載されます。
また競売前には、不動産鑑定士や裁判所の執行官が調査のために物件を訪問し、近隣住民に聞き込みをすることもあります。
これにより、自宅が競売にかけられていることが、知り合いや近隣住民に知られてしまうかもしれません。
競売は金銭面の負担だけでなく、プライバシー侵害による精神的ダメージも大きくなりやすいと言えます。

強制的に立ち退きを迫られる

一般的な不動産売却や任意売却の場合、退去日は買主との交渉により決めることが可能です。
しかし、競売は所有者の意志が一切反映されないため、落札者が決まればすぐに物件から立ち退かなければなりません。
任意売却であれば売却益から引越し費用を捻出してもらえる可能性がありますが、競売ではご自身で費用を準備する必要があります。
つまり、時間的にも金銭的にも余裕のない状態で、引越しをしなければならないのです。
そんな状況で新生活が始まっては、残った住宅ローンをスムーズに返済していくことなどできないでしょう。
生活の立て直しを図るためにも、住宅ローンの返済が苦しい場合は、競売ではなく任意売却をご検討ください。

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不動産売却における競売はどのような流れで手続きが進む?

不動産売却における競売はどのような流れで手続きが進む?

住宅ローンを1〜2回滞納したからといって、すぐに競売にかけられるわけではありません。
ローン滞納から競売開始決定通知が届くまでには、9か月程度かかると言われています。
開札日を迎えると任意売却ができなくなるため、ローンの滞納から競売完了までの流れを把握しておきましょう。

①金融機関から督促状が届く

住宅ローンを滞納すると、まず債権者である金融機関から督促状が届きます。
この通知を無視し続けると「支払いの意思がない」と判断されるため、早めに支払いを済ませましょう。
支払いの目処が立たないのであれば、速やかに金融機関に相談することをおすすめします。
長らく滞納を続ける前に相談すれば、返済プランの変更を提案してくれるかもしれません。
なお、任意売却の申請もこの時期からできるようになります。

②一括返済を求められる

滞納から約6か月が経過すると「期限の利益」を喪失し、一括返済を求める通知書が届きます。
期限の利益とは、住宅ローンを分割払いにできるという債務者側の権利です。
この権利を失うと、分割払いができなくなるため、住宅ローンを全額一括返済しなければなりません。

③代位弁済通知が届く

滞納から約7か月が経過すると、保険会社が債務者の代わりにローンを一括で返済したことを示す「代位弁済通知」が届きます。
これにより、債権が金融機関から保証会社に移行するため、今後は保証会社から一括返済を求められることになります。
月々の返済が困難な状況で、一括返済に応じられる方はほんどいないでしょう。
一括返済に応じられなければ、保険会社が競売の準備に入り、債務者のもとに物件の差し押さえ通知が届きます。

④競売開始決定通知が届く

滞納から約9か月が経過すると、競売開始決定通知が届きます。
この通知が届いたということは、競売開始まで秒読みであるということです。
早ければ4〜5か月後には物件が強制的に売却されてしまいます。

⑤現地調査がおこなわれる

滞納から10か月から11か月後、裁判所の執行官が現地調査に訪れます。
現地調査では物件の状態チェックに加えて、近隣住民への聞き込みがおこなわれることもあります。
現地調査は法律に基づいた強制的なものなので、所有者が拒否することはできません。
妨害しようとすると、公務執行妨害で犯罪になってしまいます。

⑥開札日が通知される

滞納から約13か月から16か月が経過すると、入札の期間と開札日が通知されます。
開札日を迎えてしまうと、それ以降は競売と止めることはできません。
任意売却をおこなうには、最低でも開札日の2日前までに売却手続きを終えている必要があります。

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まとめ

自宅が競売にかけられると、市場価格よりも大幅に低い価格で取引され、売却後も多額の債務が残る可能性があります。
もし残債が発生した場合、競売では一括返済を求められるため、自己破産せざるを得ないケースも少なくありません。
少しでも高く好条件で売却するためにも、ただ競売を待つのではなく、任意売却に向けて早めに動き出すほうが良いでしょう。


この記事の執筆者

このブログの担当者  大石尚輝

リクラス不動産販売 ブログ担当
【 不動産業界歴:25年】

【資格:宅地建物取引士】

長い業界歴を活かして、お客様の物件探しをサポートいたします。神戸周辺エリアで不動産業に25年携わった経験と不動産取引1000件以上の実績を活かして、お客さまに合わせたご提案をさせていただきます。リクラス不動産販売でお客様の夢や幸せを叶える一助となるべく、全力でサポートいたします。神戸市の不動産に関するご相談は、地域密着のリクラス不動産販売にお任せください。

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